丸共木材
まさに、ヒノキ材を
“電子レンジ”に入れて
低温乾燥させる高周波真空乾燥。
ヒノキの風合いを傷つけない
低温乾燥仕上げ。
100%ヒノキを扱う丸共木材には、他の製材所には真似のできない唯一の設備と技術がある。丸共木材の代名詞となっているのが、2011年に導入した高周波真空乾燥装置だ。この装置は、木材の中の水分だけを温めて10日間前後で乾燥させることができる、いわば巨大な電子レンジ。高周波で温める電子レンジと同じ仕組みで、木の中の水の分子を振動させ発熱させている。しかも、真空にすることで沸点が下がり、約33℃という低温で乾燥できるため、木材への負荷が少ない。その結果、油分が抜けにくく、ヒノキの香りやツヤ、色味を最大限に残したヒノキ材に仕上げることができる。
高周波真空乾燥で仕上げたヒノキ本来の風合いが残る木材は、寺社仏閣といった伝統建築での使用など木にこだわりを持つ各方面から好評を得ている。「現在は、寺社仏閣などに使用されることが多いが、それ以外でも興味がある人がいればぜひ提供したい」と代表取締役の酒井勝さんは話す。
だれもやっていない
乾燥を研究し続けた。
現在の代表取締役である酒井勝さんは、三代目。丸共木材は酒井さんの祖父が始め、引き継ぐきっかけになったのは、大阪の大学に在学していた頃から製材業を手伝い始めたことだったそうだ。「木と向き合う製材は、やればやるほど深く、だんだんとおもしろい仕事だと思うようになった。その一方でやるからには誰もやっていないことに挑戦しようと思った。木材に付加価値をつけることや、ヒノキの乾燥について長年研究をしてたどり着いたのが、ヒノキの風合いを残しながら低温で乾燥させる高周波真空乾燥だった」と話す。丸共木材は品質の良い梁桁の製造にこだわりを持ち、お客様の要望や用途に合わせた幅に製材している。お寺や神宮などの伝統建築物に用いられるような特注サイズの加工にも対応し、フットワーク軽く、要望に柔軟に応える体制を整えている。
「真庭の製材業の強みは、原木の集まりが昔も今も非常にいいこと。昔に比べれば、製材所の数が減ってきているが、寺社仏閣用の木を挽く技術や真庭が培ってきた木の知恵が残っていってくれたら嬉しい」と話す。